戦争・歴史映画

『沈黙-サイレンス-』の感想・ネタバレあり

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監督:マーティン・スコセッシ
脚本:ジェイ・コックス、マーティン・スコセッシ
原作:遠藤周作
出演者:アンドリュー・ガーフィールド、窪塚洋介、他
配給: KADOKAWA
日本公開:2017年1月21日

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簡単なあらすじ

日本で宣教師のフェレイラが棄教したとの知らせを受けた弟子のロドリゴガルペ。その知らせを素直に信じることが出来ず、彼らはキリスト教弾圧化の日本へと向かう。

マーティン・スコセッシ監督の『沈黙-サイレンス-』を観てきました。

スコセッシ監督の映画を見たのは、たぶん『ヒューゴの不思議な発明』以来です。この映画はスコセッシ監督としては珍しく、スチームパンクな雰囲気で素直に感動できる映画だったのですが、今回の『沈黙-サイレンス-』は心に刺さる悲惨なシーンの連続でした。

行われている拷問などは残忍だというのに、背景には美しい自然が広がっています。その対比に圧倒され、スコセッシ監督の表現力の広さを感じました。

江戸時代が舞台ですので、日本人のキャストも多く出演しています。私のお気に入りは、キチジロー役の窪塚洋介です。『池袋ウエストゲートパーク』のぶっ飛んだ演技も好きなのですが、本作ではキチジローという弱い人物を見事に演じていました。

全体的に見て大満足の映画です

ロドリゴとガルペ

宣教師のフェレイラを探しに日本へやってきたロドリゴとガルペ。この二人には人間的な強さの違いがあると思います

ロドリゴはキリシタンの村人に「踏み絵を踏めと言われたらどうしたらいいか?」と聞かれると「踏め」と答えました。対してガルペは、踏み絵を踏むという行為に納得がいっていない様子。どちらも敬虔なキリスト教徒であることは間違いないのですが、ロドリゴのほうが少し、人間の弱さを尊重していたように感じます。

だからといって、ガルペがひどい奴なわけではありません。彼は他の人たちよりも強かったのです。迷いのない信仰心を持っているがゆえに、ガルペは棄教することが出来ずに、他の信者たちと共に死んでしまいます。

ロドリゴはそんなガルペを救ってくれと神に祈りますが、神は沈黙を返すのみ。ロドリゴは葛藤したでしょう。しかし、終盤にロドリゴは神の声を聞きます。「弱いものが強いものよりも苦しまなかったと、誰が言えるのか?」という神の声は、この物語の答えなのではないでしょうか。

信仰に強い弱いは関係ないのだと思います。最後には踏み絵を踏んで棄教したロドリゴですが、生涯、信仰心を失うことはなかったでしょう

歪んでしまった宗教観

キリシタンが信仰していた神は、本当にキリスト教の神だったのかという疑問も『沈黙-サイレンス-』のテーマのひとつです。「この国ではキリスト教は根付かない」とフェレイラは言いました。キリシタンたちが見ていた神は、ロドリゴたちが信仰する神とは別の神だったのかもしれません

日本に住む人間の生活や考え方の違いで、キリスト教の教えは歪んでしまっていたのです。当時はもちろんネットなどありませんし、外国人も少なかったでしょうから仕方がないことでしょう。

何の番組かは忘れましたが、テレビで隠れキリシタンの特集をしていました。現代でも隠れキリシタンはいるのだとか。しかし、彼らは『キリスト教』ではなく『隠れキリシタン』という独自の宗教なのだそうです。

スコセッシ監督の演出

スコセッシ監督の演出が素晴らしかったので、少しまとめておきます。最初にも書きましたが、人間が行う行為とは相反して、美しい自然の光景は圧巻です。行われている拷問が、より異質なものに見えます。

キリシタンの生活はみすぼらしいですが、それ以外の人たちの生活は華やかに映し出されていて、この対比からはキリスト教弾圧の厳しさを感じることが出来ます。

作中では棄教することを「転ぶ」と表現されていました。ロドリゴが踏み絵を踏んで、まさに転んだように倒れ込んでしまうシーンは、作中で初めてスローモーションが使われており、かなり印象に残りました。

踏み絵のシーンで他に印象的だったのは、キリシタンたちが泥まみれの足で踏んでも、全く踏み絵が汚れないことです。信仰心はこんな行為では汚れないということでしょうか。簡単に踏んでしまうキチジローの足でも全く汚れません。キチジローは、最初から最後まで信仰心を失っていなかったということだと思います

まとめ

『沈黙-サイレンス-』はスコセッシ監督が満を持して世に送り出した大作であり、宗教や人間の弱さについて考えさせられる映画でした。常々、硬派な時代劇を誰か作ってくれないものかと思っていましたが、まさか海外の巨匠が作ってくれるとは…。

悲惨なシーンの連続ですが、ぜひ見てもらいたい作品です。

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