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『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の感想と紹介・少しネタバレあり

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監督:ケネス・ロナーガン
脚本:ケネス・ロナーガン
出演者:ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズ
配給:ビターズ・エンド、パルコ
日本公開:2017年5月13日

お気に入り度

少しネタバレあり

簡単なあらすじ

ボストンに住んでいるリー・チャンドラーは、アパートの便利屋として生計を立てていた。そんなリーのもとに兄であるジョーの訃報が届く。リーは急いで、故郷であるマンチェスター・バイ・ザ・シーに向かった。

しかし、ジョーは既に亡くなっており、一人残されてしまった甥であるパトリックの面倒を見ることになるのだった…。

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』とは、第89回米アカデミー賞で6部門にノミネートされ脚本賞と主演男優賞を受賞した作品です。

私は公開日の前日まで、この映画の存在をすっかり忘れておりまして。「そういえば、楽しみにしていた映画があったような気がする…」と5月の映画公開スケジュールをチェックしたところ「明日やん!」とぎりぎり気づくことができ、なんとか公開日に観に行くことができました。

そんな関係ない話はさておき、さっそく『マンチェスター・バイ・ザ・シー』感想を述べたいと思います。短めに感想を言うなら「人生経験が豊富な人が観ると、感じ取ることが多いであろう映画」です。何故かと言うと、この映画の重要人物であるリーとパトリックの心には、様々な感情が複雑に渦巻いているからです。

彼らに感情移入できる人は、妻や子供を持っている人、過去になにか過ちを犯して苦しんでいる人、複雑な思春期を経験したことがある人などでしょう。しかし、そういった人たちしか楽しめないわけではありません。アカデミー賞を受賞したほどの演技力と脚本は伊達ではなく、登場人物たちの感情は、複雑ですが理解できることも多くあり、静かなのに濃厚なドラマを見せてくれます。

あえて欠点を上げるとするなら、過去と現在の切り替わりが唐突で、序盤は少し混乱してしまうような演出だったことでしょう(狙ってやっていたのかもしれませんが…)。しかし、この唐突に切り替わる過去と現在の対比が、リーの変化を如実に表してくれていたので、あまり欠点とも言えないかもしれません。

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』は、「あの場面での彼ら彼女らは、何を考えていたのだろうか?」と鑑賞を終えたあとで考えてしまう映画でした。

リーを演じたケイシー・アフレックと物語の感想

主人公であるリーは、ある過ちを犯してしまいます。この過ちは、立ち直ることができないほどのものであり、彼と同じ過ちを犯したことがあるなんて人はほぼいないでしょう。リー自身が原因であり、責められても仕方がないことではあるのですが、それは事故のようなものです。

それが原因で彼の心は壊れてしまうわけです。壊れて無愛想になりイライラしているリーと、壊れる前の家族を愛し、お調子者だったリーとでは、まるで別人です。

このリーを演じたのは、ケイシー・アフレックという俳優で『インター・ステラー』などにも出演していた人。ケイシー・アフレックは『マンチェスター・バイ・ザ・シー』での演技が高く評価され、アカデミー賞の他にも数々の賞を受賞しました。

私的には、『ムーンライト』や『ラ・ラ・ランド』の主演男優も演技が上手いと思っていたので、去年のアカデミー賞はレベルが高かったんだなと思っていました。今回、ケイシー・アフレックの演技を見て、彼が主演男優賞を受賞したことに納得です。

リーの生きる希望が無くなったというような無機質な目つきと表情、そして喋り方。それとは打って変わって、過去のお調子者でテンション高めな演技は、本当に別人かと思ってしまうほどの完成度でした。

なぜリーがそこまで変わってしまったのかは、ぜひ本編を見てもらいたいのですが、彼が変わってしまう事件が起こる場面は必見です。何か良くないことが起きると示唆するような不気味な演出と、いざ起きてしまったあとの演技は印象的。ロナーガン監督の演出とアフレックの演技で、ショッキングな出来事をより際立たせています。

思い返してみると印象的な場面が多いです。特に終盤はオンパレード。例えば、リーの妻であるランディが、嗚咽を漏らしながら心中を吐露する場面。彼女を演じたミシェル・ウィリアムズは、ケイシー・アフレックに負けず劣らず迫真の演技でした。

ついでにもうひとつ。銃を眺めるリーの姿。この場面では一瞬、銃という物騒な物にハッとしてしまうのですが、悪いことに使われるわけではありません。どう使われるかはここでを書きませんが、その後で見られるリーの笑顔には、何か救われたような気分にさせられました。

私は『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のラストをハッピーエンドだと思っています。劇中に起きる出来事は悲しいことばかりですが、リー、そしてパトリックも良い方向へ向かっているのだと思わせてくれるラストでした。

まとめ

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』は、演技が上手い俳優陣が居たからこそ完成したと言っても過言ではないでしょう。主演であるケイシー・アフレックを筆頭に、心に刺さる演技を見せてくれます。

そして、脚本も素晴らしい。心に深い傷と罪を背負ったリーが、甥のパトリックと接しているうちに変わっていきます。気づきにくいほど微々たる変化であり、リーが自身を許す日は来ないかもしれません。しかし、以前よりは前向きに、そして懸命に生きようとしているリーの姿に心打たれました

「いい話だったなあ」と素直に言える物語ではありませんが、静かに心を揺さぶられて涙を流してしまう。そんな映画でした。

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