戦争・歴史映画

『地獄門』の感想と紹介

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地獄門 【デジタル復元版】 [DVD]

監督:衣笠貞之助
脚本:衣笠貞之助
原作:菊池寛
出演者:長谷川一夫、京マチ子
配給:大映
公開:1953年

お気に入り度

ネタバレなし

簡単なあらすじ

平治の乱が起こった時代の物語。平康忠は、襲撃された御所から上皇と上西門院を救うために、袈裟(けさ)という女を身代わりにして敵を欺く。身代わりとなった袈裟は、護衛の盛遠(もりとお)に救われてなんとか生き延びるのだった。

平治の乱が終息した後、平清盛は武士たちに褒美を与える。盛遠が望んだのは袈裟を妻にすること。しかし、袈裟は既に渡辺渡という男に嫁いでおり、盛遠は袈裟を妻にすることができなかった。諦めきれない盛遠は、強引な手段で袈裟を手に入れようとする…。

『地獄門』とは、三大映画祭のひとつであるカンヌ国際映画祭でパルム・ドールに選ばれ、アカデミー賞でも名誉賞と衣装デザイン賞を受賞した映画です

「日本映画がカンヌ国際映画祭でノミネート!」という言葉は最近でも耳にしますが、最優秀賞であるパルム・ドールを受賞した日本映画は非常に少ないです。黒澤明今村昌平、そして『地獄門』の衣笠貞之助

2017年の現時点では彼らのが作った映画、計四作品がパルム・ドールを獲得しています(今村昌平さんは二回受賞)。パルム・ドールがどれだけ獲得しづらいかがわかりますね。『地獄門』は日本を代表する映画のひとつでしょう。

『地獄門』がどんな映画かを一言で表すと「映像と衣装に工夫を凝らした映画」です。いかにもカンヌといったような作品。ミュージカルのように色とりどりの衣装、空間を意識した美しい構図、ドロドロの愛憎劇。

『地獄門』という禍々しいタイトルで勘違いしてしまうかもしれませんが、戦闘は皆無に等しく、時代劇の殺陣シーンなどを期待していると裏切られてしまう作品です。この作品は、後味の悪い恋愛映画(片思い映画?)であり、当時としては珍しいカラフルな時代劇であると認識して鑑賞すると『地獄門』の良さがわかると思います。

物語の好き嫌いは賛否両論あると思います。盛遠という人物はかなり身勝手なストーカーですし、袈裟の最後の決断を見て、なぜ夫の渡に相談しなかったと言いたくなってしまう方もいるでしょう。胸糞悪くなってしまう物語ではありますが、それを含めて良くできている映画だったなと思いました。

ちなみに、遠藤盛遠という人物は実在しており出家して文覚上人になりました。

イーストマンカラーを採用した映画

イーストマンカラーとは、コダック社が1952年に発表した一本巻きカラーフィルムです。

従来のテクニカラーは三色分解と呼ばれる技術が使われており赤、青、緑の要素を後付していました。撮影時に使用されるフィルムの量も膨大で、現代と比べると使い勝手の悪いシステムだったわけです。

当時は、表現力でテクニカラーに劣っていたイーストマンカラーですが、一本巻きでかさばらず、かつ安価であったことから次第に普及していきます。そして様々な改良が加えられ、現代でも使われているカラーフィルムとなったのです。

さて、だから何なんだという話ですが、『地獄門』が当時は珍しいカラーを使った映画だという点が重要です。白黒ばかりだった時代に色という要素を取り入れた映画ですので、テンションが上ってしまったのでしょう。

衣装や装飾品、背景の小物に至るまで非常に色鮮やかです。日本独特の色使いが使われている薄い布や、すだれが透けて背景を映し出すさまは美しいの一言。

時代劇なのに着ている服が綺麗すぎるだろ。と突っ込みたくなってしまいますが、『地獄門』はそんな美しい衣装や背景の色使いに注目してもらいたい映画です。もし、普通の時代劇で使われるような色使いだったならば、この作品は凡作になっていたでしょう。

演出について

『地獄門』には、印象に残る構図がいくつもありました。すだれや薄い布を手前に置き、人物や背景を透かして見せることで、奥行きが生まれ室内がかなり広く感じます。布が風に揺れている様子も面白かったです。室内では物が動く、ということがあまりないので映像が平坦になりがちですが、時代劇ならではの小物を利用して、つまらない映像にならないように工夫されています。

タイトルにもなっている『地獄門』という場所は作中で何度も出てきており、太い柱や琵琶弾き、同じ角度からの構図で印象づけられ、重要な場所であるということが示されます。こういった細かい演出が丁寧で、作中での位置関係や変化が手に取るようにわかる点が好印象でした。

まとめ

『地獄門』は映像に注目してもらいたい作品であり、様々な工夫や色使いに挑戦しています。その挑戦は成功しており、美しい映像が出来上がっています。物語については賛否あると思いますが、映画は物語だけを観るものではないので、広い視点で楽しんでもらいたいです。

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