戦争・歴史映画

『炎628』の感想と紹介

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炎628 [DVD]

監督:エレム・クリモフ
出演者:アリョーシャ・クラフチェンコ、他
公開:1985年

お気に入り度

ネタバレなし

簡単なあらすじ

1943年、ドイツ占領下の白ロシア(ベラルーシ)で、少年フニョーラはパルチザンに参加するが、年齢が若すぎることもあり置き去りにされてしまう。フニョーラは、同じく行き場がのない少女グラーシャと共に、故郷の村を目指すのだった…。

『炎628』とは、第二次世界大戦中のベラルーシで起きた虐殺と、628の村が焼かれるという実話に基づいて作られた作品であり、クランティン・タランティーノ監督が『第2次世界大戦映画ベスト50』の一位に選んだ映画です。

戦争映画の中では有名な作品なのですが、いかんせん日本ではレンタル数が少ないこともあり、今まで観る機会がありませんでした。この映画自体は昔から知っていたのですが、私は一度観た映画でないとDVD購入に踏み切れないヘタレなので、今の今まで放置していたわけです。まさか近所のゲオに、ぽつんと置いてあるとは思いませんでした…。

さて、肝心の感想ですが、正直、あまり人におすすめできない作品です悪い意味ではありません。戦争の悲惨さや、人間の残虐性を知るために観てもらいたいとも思うのですが、ショッキングな映像と内容は、戦争映画に免疫がない方がいきなり観てしまうと、今後、戦争映画を観るのはやめようと思ってしまうかもしれません。

グロテスクな表現としては、映画『ソウ』のほうがエグいのですが、映画から感じ取れる狂気や異常さは『炎628』のほうが断然上です。それだけエレム・クリモフ監督の演出がうまいということですね。

映画を観ているのに、実際にその場にいるような空気感が素晴らしく、この『炎628』という作品自体を怖いと感じてしまいます。劇中で使われている不協和音や、人物の顔を真正面から捉えたクローズアップは、終始、緊張感と不安感を煽ります。

去年観た『サウルの息子』も、ショッキングな内容だったのですが、『炎628』のほうが恐怖、狂気、絶望などの負の要素を真正面からぶつけてくる印象です。エレム・クリモフという監督のことはあまり知らないのですが、戦争とナチスのことを恨んでいるのだと語りかけてくるような映画でした。

アインザッツグルッペン

こんな残酷なことが人間にできるのかと、実話の映画にも関わらずその信憑性を疑ってしまった私は、劇中、残虐非道の限りを尽くす『アインザッツグルッペン』というドイツ親衛隊のことを少し調べてみました。

他の戦争映画なら、どこの兵隊にも人間らしい仕草や行動を見ることができます。しかし、本作に登場する彼らは、得体の知れない怪物にしか見えません。そんな彼らの任務のひとつが虐殺だったそうです。人間を生きたまま焼いたり、犯したり、正気の沙汰ではありません。

ドイツ兵が言い放ったセリフにこんなものがあります「すべては子供から始まる」だから殺すと?一体どんな心境ですか…。戦争という異常事態の下で生まれてしまった怪物が彼らだったのでしょう。

娯楽ではない戦争映画

戦争映画は数多くあります。たとえば『プライベート・ライアン』たとえば『ブラックホーク・ダウン』。こういった名作と呼ばれる戦争映画は、戦争の悲惨さを伝えると同時に映画としても楽しめる、感動できる作品が多く何度も観たいと思えます。

『炎628』は、たしかに名作ですが映画というツールを最大限利用して、戦争の現実と悲惨さを伝えている作品であり、この映画には感動なんてありません。伊集院光さんは『この世界の片隅に』という映画の感想コメントで「悲しみだけで戦争の悲惨さを伝えるのには、限界があると思っていた」と言っていました。

『炎628』は娯楽の要素を全て排除して、悲しみだけで戦争の悲惨さを伝えている限界地点の映画なのではないでしょうか。何度も観たいと思える作品ではありませんが、観てよかった、知ってよかったと思える映画でした。

まとめ

『炎628』は、戦争の不条理と狂気を包み隠さず伝えている名作であり、ラストのフニョーラの表情は恐怖を感じるほどの演技でした。これから観てみようと思っている方は、少し身構えて観るくらいが丁度いいかもしれません。

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